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これは昨年暮れのことですが、奥さんとフラっと市内を散歩しようと市内中心部に向かったときのこと。
しばらく歩いていると、なんだかお茶でもしたくなったねと、近くにある京都府庁旧本館の中にある『salon de 1904』に行こうということに。
この日は土曜日だったので営業しているかと思ったのですが、あいにくお休みでした😔
まあしょうがないね、でもこの旧本館て京都の重要文化財だし、せっかくだから中を探検してみようと、館内を歩いてみました。
この旧本館は明治37年(1904年)の竣工。
すでに120年を迎えようという古い建物です。
中庭もあってなかなかに重厚な建物。
通常、こうした洋風の建物の中庭には噴水が設えられるものですが、この京都府庁本館には桜が植えられています。
これは枝垂れ桜。
この敷地内にはソメイヨシノはないとのこと。
建物の北側には旧会議場があります。
ここは数年前までは会議場の体をなしておらず、図書館に転用されていたそうで、それを歴史の保存という目的で旧会議場を復元したものです。
この机と椅子は保存されていたかつてのものを戻したのか、新たに製作したのかは不明ですが、時代考証をした上で復元したのでしょう。
こうした意匠も含めてできるだけ忠実にしたものと思われます。
天井から下るシャンデリアも明治後期の凝ったものですね。
議場の隅を飾るこのレリーフはアカンサスというギリシャの国花だそうです。
この花の花言葉のひとつに『離れない結び目』というのがありまして、府政が府民と離れないように、という願いを込めたものと説明をしていただきました。
この会議場は一般にも利用が許可されていて、この日もこのあとなにかの講習会が催される予定だとお聞きしました。
いまは各種会議、講演会、勉強会、音楽会、果ては結婚式にまで利用できるそうです。
建物の内装は、柱、天井、アーチ、シャンデリアなど、ひとつひとつの意匠、装飾が美しく、現代ではこんなモノ造らない(造れない)よなぁと感嘆しきりです。
2階に上がると旧知事室があります。
部屋の一角には菊の御紋があしらわれた机が。
職員の方のお話では、これも菊の御紋だそうですが、なぜひし形になっているのかは不明とのこと。
このチェストのような台にも菊の紋が設えられていまして、天皇陛下のお帽子を置く台だそうです。
そう、御紋がついているとおり、先ほどの机は天皇陛下がお使いになる机だそうです。
知事室には登退庁表示灯があって、これで用事のある職員を呼び出すことができました。
似たような設備は明治村の『坐漁荘』にもありました。
ここにもアカンサス。
暖炉があります。
当然、この後ろには煙突に通じる空間があるのですが、この頃の建物には現在のような鉄筋は通っておらず、煙突のぶんだけ壁の厚さが薄くなるため、強度確保のためにこうした肉厚処理がされているそうです。
知事室から別の部屋等に出入りする扉。
左側は隣の事務室に通じる扉、そして右側は知事室の外の廊下に通じる扉です。
この右側の扉の上には三角形の『ペディデント』があしらわれていますが、これは貴賓が通る扉であることを示します。おそらくは天皇陛下を筆頭として、位の高い方が通るための扉、職員等はここを通ることはなく、左側の扉を通っていたものと思われます。
知事室と事務室を挟んだ反対側には『閣議室』があります。
大正天皇の即位の礼を行なうときに政府の閣僚が集まり、閣議が開催された部屋だそうです。
その閣議室中央の南側にはバルコニーがあって、その延長線上には釜座通が南北に走っています。
このバルコニーに出て居並ぶ民衆に手をふったのは歴代二人しかなく、お一人目は昭和天皇、二人目はソ連(当時)のガガーリンです。
京都府庁旧本館は、現在は公務に使われることはなく、おそらくこの旧本館の維持のためと思われる職員の方が常駐しているだけのようですが、その職員の皆さんがとても親切にいろんなことをご説明くださるので、ただ見て回るだけでは得ることができないような知識も得ることができました。
ここの他にも、毎週日曜日の朝には京都御所で無料の案内コースも催されているとの情報を教えていただくことができて、こんどはそっちも行かなきゃね、と、お茶はできなかったけど大満足の京都府庁旧本館の探訪でした。
■撮影機材:iPhone13 ProMax