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私の愛車、BMW R1150RTは2003年製造、2007年に14,580kmで購入した中古車ですが、すでに購入から17年弱、ODOは145,000kmを超えています。
非常にタフなエンジンで、この距離を走っていても、温まっていればまだまだパワーダウンらしい兆候を感じません。
でも、従来から吸気系の掃除をするたびに汚れが目立ってきて、その掃除のスパンが短くてもけっこうな汚れを蓄積しており、対症療法を講じてきましたが、そもそもこれの原因がなんなのかをきちんと解明して、根本的な手当をしないといけないなと思うようになりました。
これは2021年10月にスロットルボディをお掃除した時の様子。
これはエンジン側の吸気の川下ですが、ここにオイルの色を呈した液体が溜まっていました。
どうもオイルっぽいことに気が付きました。
以前から吸気系の掃除はしていましたが、こんなにオイルらしきものがたまっているのは観た記憶がなく、なんだろうと思っていました。
同じ時に観察したインテークマニホールド側。
すごくオイリーでした。
はずしてみるとこのオイリーさ。
これはエンジンからの吹き返しというよりは、吸気系の川上からオイルが回ってきているのではないかという印象でした。
それが確信に変わったのはこのスロットルボディ内の汚れ。
これはエアクリーナボックス側なので、エアクリーナボックスからこの汚れたオイル、もっというとオイルミストが回ってきているとしか考えられないと思いました。
つまり、クランクケースからブリーザホースを通ってエアクリーナボックスに還流しているオイルミストがオイルミストキャッチタンクで捕まえきれずにスロットルボディまで流れてきているということ。
上の汚れをお掃除したのがこちら。
違いは一目瞭然。
このときはお掃除だけで対策めいたことはなにもしなかったのですが、そんな状態で一年を経過すると...
1年後には吸気ポートとバルブのステムがこんなコトになってしまっていました。
オイルが固着していて、どう考えても健康な心臓とは言えない、コレステロールでやられている心臓って感じです。
こちら右側。
左側も同じです。
これを観て、どうやらエアクリーナボックスについているオイルミストキャッチタンクでは設計通りの仕事ができていない、というより、想定している以上のオイルミストが来ているものと思われ、これをきれいにするにはオイルミストキャッチタンクを増設するほかあるまいということで、外付けで増設して一ヶ月ほど走った結果がこれ。
明らかにオイリーさがマシになっていました。
こちら右側。
そして左側。これがどれくらいきれいになるかを経過観察しました。
■オイルミストキャッチタンクをつけたときの記事
■オイルミストキャッチタンクを購入したときの記事
このオイルミストキャッチタンクの威力は絶大で、秋口で1,000km走ったらこれくらいのオイルミストと水蒸気が捕まり、冬場だと7割方たまることでスロットルボディに回るオイルミストが劇的に減りました。
ただし、アイドリングスクリューはキャッチタンクの増設前後でさほど変化は無し。
1,000km走ってこれくらい汚れる。
一方、吸気ポートはそれとは対象的に汚れが落ちていっている模様。
しかし、夏場に走ると、さすがの増設キャッチタンクでも冷却効果は減退してしまい、また汚れが増してしまう。
もしかするとキャッチタンクをくぐり抜けたオイルミストの他に、シールからのオイル下がりもあるのかもしれない、というくらいのバルブステムの汚れっぷり。
こちら左側。
右側の同じ傾向。
まあ、バルブが閉じているかどうかでもステムの位置が変わるので単純比較はできないのですが、それでもポートの汚れは明らかに増したって感じでした。
それも年が変わって冬をまたぐとまたきれいになる。
だけどやっぱりアイドリングスクリューは真っ黒け。
左側も同傾向ですが...
左側のバルブステム、傘に近いところに乾いたカーボン、というよりストレートに『煤』が堆積しているのが確認できました。
これらの観察結果から、我がRTのエンジンが抱えている問題は以下のような感じかと。
■ピストンリングの摩滅
増設オイルミストキャッチタンクにたまる水蒸気の凝結している量がちょっと多いんじゃないかと思われること。
また、そもそも標準のオイルミストキャッチタンクで捕らえきれないオイルミストでスロットルボディが汚れる度合いがひどすぎると感じます。
これはクランクケースからブローバイミストがブローバイホースを経由して多くエアクリーナボックスに回ってきているということだと思います。
■バルブステムシールからのオイル下がり
これは本当に『なんとなくそうじゃないか』という域を出ないのですが、バルブステムについているオイルは、ブローバイオイルミストが付着しているというよりも、シリンダヘッドのバルブステムシールからオイルが下りてきているんじゃないかという気がすごくする。
■圧縮時のバルブからの吹き返し
根拠はアイドリングスクリューのカーボン堆積と、バルブステムに堆積した煤。
まずアイドリングスクリューですが、これが刺さっているのはスロットルボディの上側、エアクリーナボックスから流れてきたエアがインジェクタから噴かれるガソリンと混合されるバタフライ下流とは別系統のところです。
つまり、吸気側ではあるけれど、ガソリンには洗われることがないルートです。
増設キャッチタンクをつけて以降はスロットルボディ内の汚れが抑制されていることを考えると、この汚れは川上のエアクリーナボックスから流れてくるオイルミストではなく、エンジンからの吹き返しじゃないかという気がすごくする。
実際、最後にスクリューをチェックしたときのカーボンは乾いたカーボンでした。
また、カーボンステムの乾燥したカーボンの堆積もそれを示唆します。
吹き返しの影響がここまででているということは、バルブがちゃんと閉じていないと考えられるため、もしかするとバルブの傘、バルブシート周辺にカーボンが挟まって密着を阻害しているのかもしれない。
もっと悪いと、バルブそのものが消耗しているかも?
■燃焼室内のカーボン堆積
以前にも経験がありますが、購入当初はそんな事はまあなかったのに、通勤で信号待ちからのスタートで、ヘルメットを被っていても『かりかり...』とノッキングすることがある。
もちろん、オーバーヒート時にこういう音がすることはありえますが、以前もと変わらぬ通勤条件ですからやはりなにか起こっていると思ったほうがいい。
混合気を6%ほどリッチにするBooster Plugを装着すると同じようなシチュエーションでもノッキング音は聞こえない。これは混合気がリッチになったことで燃焼室内が冷却されるためだろうと思いますが、いずれにしてもノッキングが起こるのはカーボンの堆積も原因の一つだと考えます。
カーボンの堆積によって燃焼室容積が小さくなるため、圧縮比が設計よりも高くなる。どれくらい小さくなっているか、そのパーセンテージまで知ることはできませんが、あるいはカーボン堆積によって燃焼室の放熱が阻害されているのもあるかもね。
とまあ、こんなことから、これは相当リサーチをしてからでないと手を付けられそうにないですが、ここは腹をくくって【ピストンリングの交換】、【バルブシールの交換】、【燃焼室内カーボンの清掃】をしないといけないかなと思います。
いつになるかわかりませんが、少しずつ情報を集めて、必要な工具とパーツを揃えつつ、準備を進めたいなと思います。