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拙宅のクルマはVolkswagen Golf5 Variant 2008年式です。
すでに購入してから15年と半年が経過、ODOは134,000kmを超えていて、今まで乗ってきたクルマの最長使用期間、距離を更新し続けています。
この15年の間に、2000年頃から台頭をはじめたハイブリッド車はもちろんですが、電気自動車、いわゆるEV(Electrical Vehicle)もだいぶ増えてきました。
世の中の趨勢としては化石燃料を燃やして二酸化炭素を吐き出すガソリン、ディーゼル、ついでにハイブリッド車も地球温暖化の原因である『悪』とレッテルが貼られているようですが、少なくとも現在の日本においてはそれは的外れではないかなと思っています。
拙宅のGolfはもちろんハイブリッドでもなければEVでもないのですが、まだまだ乗っていきたいなと思うクルマです。
私にとってはクルマ自体が趣味性が高いもので、
・運転していて楽しい
・エンジンの回転が上がっていって、シフトチェンジのたびに上下するエンジン回転音が好き
等々、長年のクルマ好きの方であれば共感していただけるであろう魅力があると思っています。
一方、EVのいいところは、
・燃料を爆発させるエンジンを持たないので静粛性が高い
・エンジン、トランスミッション等の特に部品点数が多い機構が不要
・部品点数が少ないということは故障のリスクも低い
といったところかなと思います。
でもね。
拙宅のような使い方だとEVというのはちょっと使い勝手が悪いんですよね。
まあ日常使いであれば別にEVでもICEVでも使い勝手には大差はないと思うのです。
むしろ、EVのほうが自宅で充電できる(現状は戸建住宅で自宅にカーポートないしガレージがあればという条件付きだけど)という面では燃料補給のためにガソリンスタンドに行かなくてもいいというメリットはあります。
また、エンジンオイルの交換等も不要なのでメンテナンスも負担は少なく、コストも低いでしょうね。
ところが、拙宅では年に数回、京都〜東京を往復することがあるのですよ。
当然、高速と下道を組み合わせていくのですが、いつも思うことは『充電スポットが少なすぎてEVだと遠出はしにくいな〜』ということ。
高速道路上のSAやPAにいっても、充電スポットが絶望的に少ないのですよ。
大きなSAであっても端っこの方に2からせいぜい3台分のチャージャがあるだけ。
現在のEVでは航続距離もだいぶ伸びてきて、カタログスペックでは500キロに届きそうなモデルも出てきていますが、それはあくまでカタログスペックであって、真夏や真冬だとエアコンをフル稼働させるため、当然のことながら航続距離は短くなります。
実際に自分で試したことはないのでどれくらいのペースでバッテリゲージが減っていくのか断定的なことは言えないですが、おそらく、すっからかんにならずとも200キロごとには充電しないと不安だろうと思います。実際に世に出ているYouTubeなどでの実稼働情報やインプレッションでもそう言ったことは指摘されています。
いずれにしても京都を出発して東京に到着するまでには2回か、場合によっては3回くらいチャージしないと途中で電欠になりかねないか、電欠になりやしないかとヒヤヒヤしないといけない。
そのチャージも、高速充電機で80%までチャージするのに概ね30分くらいを要すると聞きます。
100キロごとにSA/PAで休憩するとして、その2回に1回の頻度で施設内にあるチャージャで充電しないといけない。
しかも充電するには上述の通り30分程度を要するのでけっこうな時間のロスが生じるうえ、もし先客で埋まっていたら同程度の待ち時間を要するかもしれないので、場合によっては45分とか悪くすると1時間くらい足止めを食らう。
拙宅のGolfであれば、高速走行であればリッター16kmくらいは走るので、高速に乗る前に満タンにしておけば東京につくまでの消費量はせいぜい32リットル。タンク内にはまだ20リットル残っている計算なので、少なくとも『まだ燃料大丈夫かな』と心配する必要は全くありません。
でも実質的な航続距離が300キロ程度のEVだと常にゲージを気にしながら走らねばならず、特に新東名の120キロ制限区間でスピードレンジが上がれば電費はさらに悪化することも予想され、運転も楽しめないだろうなぁと想像してしまいます。
冬季の渋滞路でのリスクもよく言われますね。
毎年のように大雪で立ち往生した高速や国道のニュースがありますが、EVで大雪の渋滞に巻き込まれたら、おそらく数時間で電欠に陥ってしまう。
一方、ガソリン車であればアイドリングでエンジンが回っていれば1.5リットルクラスで1時間あたり1リットルの消費量と言われますので、仮に30リットルのガソリンがタンクに残っていれば、死残量を考慮しても25リットル、ざっと丸一日は暖を取れる計算です(雪にクルマがすっかり埋まってしまうことがなければ、という前提ですが)。
北陸などで発生した大雪による渋滞では実際に24時間も足止めになるケースがあったようなので、EVだと電費は文字通り死活問題、その点、ガソリン車は除雪がすんで渋滞が解消するまでの間はどうにか命をつなぐことはできそうです。
まあこれは極端な例ですが、実際に世の中で起っている事例なので、自分が絶対にそのような事態に直面しないとは言い切れない。
私自身も、真冬ではなかったですが、広島勤務時代に、GWに開通したばかりのしまなみ海道でほぼ12時間渋滞で足止めされた経験があるので、そのリスクは身に染みています。
あと、『EVって本当に環境に優しいのか? 本当にCO2を出していないのか?』というのも忘れてはいけない視点だと思っています。
現在の日本における電源の構成比率ですが、アスエネメディアによれば
・火力発電 71.7%(石炭・LNG・石油)
・再生可能エネルギー 14.6%(太陽光・風力・地熱・バイオマス)
・水力発電 7.8%
・原子力 5.9%
です(2024年1月20日現在)。
これによると、エコだという触れ込みのEVを動かす電力の7割以上が『火力発電』で作られている。
なんのことはない、たしかにクルマを走らせているときは二酸化炭素を出していないかもしれないが、その動力源である電気を作るのに二酸化炭素を出しているじゃないか、ということです。
あと、製造時にEVに不可欠なレアアースの採掘が必要。これも環境負荷大です。
なんだか、世の中のマスコミ、SDGsを標榜する組織全体がみんな物事の一面だけの切り取りで『EVが地球を救う』という虚像を創り出しているように思える。
例えば、エンジンでタイヤを回して走る内燃機関車では、
【エンジンで燃料を爆発】▶【ピストンの往復運動を回転運動に変換】▶【タイヤを回して走る】
一方、電気自動車は
【石炭を燃やす】▶【水を沸騰させてタービンを回して発電する】▶【何十キロ〜何百キロも送電する】▶【EVのバッテリに蓄電する】▶【モーターでタイヤを回して走る】
とまあ、内燃機関車は燃料を燃やしてタイヤを回すまでは1回の変換で済むところ、電気自動車は燃料を燃やしたら都合4回の変換が必要です(両方とも単純化していますが)。
変換が起こるところには必ずロスが生まれますから、おそらく、同じ量の燃料を燃やすことによる走行可能距離は電気自動車よりも内燃機関車のほうが長いと思います(正確に試算したわけではないので私の想像ですが)。
もう一つ考えておかねばならないことは、送電網と電源容量の問題です。
昨年の夏だったか、『電力不足のために節電してください』と国が要請していましたよね。
そんな状態でEVを増やすことができるのか? ということです。
ソースがナニだったか記憶があやふやですが、現在のクルマをEVに置き換えるためには、原子力発電所10基は稼働させないといけないそうです(太陽光発電ではとても賄えない)。
そりゃそうでしょうね。
最初の方に書いたように、クルマをEVに置き換えるなら、高速道路ではSAやPAで休憩するごとに充電する必要があるため、その需要を賄うにはパーキングロット一つ一つにチャージャを設置する必要があるでしょう。
そのための工事も気が遠くなるようなインフラ整備事業ですが、その電源容量を確保するための原発稼働も、原発反対派の過激な反対のために遅々として進まず、向こう5年、10年で状況が好転するとは到底思えない。
つまり、EVがクルマ社会を席巻し、ストレスなく運用できる環境は当面絶望的だと言えるのです。
今後、EV移行を本気で進めるのであれば、
■爆増するであろう電源容量需要をカバーする電源の確保(原発稼働 並びに 新造増設)
■高速道路に限らず、一般道でも充電スポットの大幅な拡充(駐車可能台数の半分以上)
■チャージに要する時間の劇的な短縮(80%まで5分以内が理想)
■航続距離の延伸(少なくともワンチャージ・エアコンフル稼働で(カタログスペックではない)高速実走行可能距離700kmはほしい)
■極寒でのチャージ効率の向上(バッテリーの全環境での性能・耐性アップ)
などのいくつものブレークスルーが必要でしょう。
少なくとも、拙宅ではまだまだEVは選択肢にはなり得ない。
上記が実現するまでは内燃機関車を乗り継ぐことになりそうです。
最後にご参考。
現状のEVは特に極寒の地では用をなさないということも実際に起きています。
こういうことを世のオールドメディア、新聞やテレビはまったく報じないんですよね、うーん🧐